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matsutomo=# \x on-- published 2026-10-22
2026年10月22日無料X でシェア

業務の型化工場 — AI が回せる「型」を作る 7 つの工程

紙・Excel・口頭で回っている定型業務を、AI が同じ品質で回せる「型」に変え、現場に定着させ、合意した範囲で次の案件の部品として残す。FDE として毎回同じ順番で進めている 7 つの工程を、要点だけ公開します。

「AI で報告書を書けるようにしたい」という相談は、多くの場合、 AI の性能ではなく、型がないところで止まっています。 書く人によって形が違い、良し悪しの基準が言葉になっておらず、 材料が足りないときにどうするかも決まっていません。 その状態の業務を AI に渡しても、出てくるのは「それっぽい文章」だけです。

私はこの「型がない業務」を「型のある業務」に変える進め方を、 業務の型化工場と呼んでいます。業種を問わず、毎回同じ 7 つの工程で進めます。

業務の型化工場の 7 つの工程。工程 1・2・5・6 は人が主導し、入力元が空なら工程 2 へ、不合格なら工程 4 へ戻る
7 つの工程と、戻る場所。緑の工程は人が主導します

目次

  1. 先に、人と AI の分担を決めておく
  2. 工程 1:止まっている一点を選ぶ
  3. 工程 2:説明より、実物を集める
  4. 工程 3:見慣れた様式を、そのまま再現する
  5. 工程 4:AI が同じ品質で出せる手順書にする
  6. 工程 5:合格は、現場が決める
  7. 工程 6:納品してから 30 日、使われ続けるかを確かめる
  8. 工程 7:一件ごとに、3 つを残す
  9. 情報の取り扱いは、始める前に書面で決める
  10. まずは、止まっている一点から

先に、人と AI の分担を決めておく

7 つの工程に入る前に、どこを人が握り、どこを AI に任せるかを決めています。

人が握るAI に任せる
どの業務を型にするかの判断様式の再現
現場の暗黙知の聞き取り下書きの生成
合格の判定項目定義の整理
定着までの伴走検証用データの比較
出力の最終責任記録と集計

左の列は自動化しません。ここが品質の源で、 同時に「AI で何でも自動に」と言わない理由でもあります。 7 つの工程のうち、工程 1・2・5・6 は人が主導します。

工程 1:止まっている一点を選ぶ

最初に型にする業務は、一つだけ選びます。 いくつも同時に始めると、検証も定着も中途半端になるからです。

選ぶときは、頻度・負担・様式の明確さ・判断のパターン・失敗の影響の 5 つを 1〜3 点で数え、合計 12 点以上を優先候補にしています。 最後の決め手は、責任者が「まずこれが楽になれば助かる」と言うかどうかです。

TIP

この点数付けは、型にする業務の選定スコアとして無料で試せます。候補を 3 つまで比べられます。

工程 2:説明より、実物を集める

型の品質は、聞き取りで集めた実例の量と質で決まります。 業務の説明を聞くより、実物を集めることを優先します。

  • 白紙の様式(紙ならスマホで撮った写真で十分)
  • 良い記入例を 3 件
  • 差し戻された例、または良くない例を 3 件
  • 書く前の材料(口頭のメモ、走り書き)

聞き取りの終わりは、材料から完成品までの「変換のルール」を、 担当者以外が説明できる状態になったときです。

工程 3:見慣れた様式を、そのまま再現する

現場が毎日見ている様式を、レイアウトごと再現します。 見た目が同じだと、現場は新しい道具だと身構えずに使い始めます。

あわせて、項目ごとの書き方のルールを表にします。列はこの 6 つです。

項目名必須入力元書き方のルール文字数の目安良い例
発生状況○口頭メモ時刻→場所→行動の順。主観の言葉を使わない80〜150 字実例から 1 文

「入力元」が空欄の項目は、聞き取り漏れのサインです。工程 2 に戻ります。

工程 4:AI が同じ品質で出せる手順書にする

項目定義の表を、AI がいつでも同じ品質で下書きを出せる手順書(スキル)に変えます。 決めるのは、起動の条件・入力の受け方・変換のルール・禁止事項・不足時の対応・出力形式の 6 つです。

なかでも外せないのが不足時の対応です。 材料が足りない項目を推測で埋めると、一度で現場の信頼を失いかねません。 足りないときは空欄にせず、何が足りないかを質問させます。

工程 5:合格は、現場が決める

合格かどうかは、作った側ではなく現場の担当者が判定します。 過去の材料を入れて下書きを作り直し、実物と項目ごとに比べ、 担当者に実際の業務で使ってもらいます。目安にしているのは次の 4 つです。

  • 手直しの時間が、手で書いていたときの 3 分の 1 以下
  • 法定様式や監査対象の項目に誤りがない
  • 推測で埋めた箇所がない(不足は質問として出ている)
  • 担当者が実際の業務で 3 回使い、「次からこれで書きたい」と言う

具体的な基準は、案件ごとに先方と決めます。不合格なら工程 4 に戻ります。

工程 6:納品してから 30 日、使われ続けるかを確かめる

納品はゴールではなく、定着期間の始まりです。 使われ続けるかどうかは、最初の 30 日で決まります。

時期やること
初日担当者と一緒に、実際の業務で 1 件書く。説明は紙 1 枚以内
1〜2 週目使われた件数と手直しの内容を記録し、詰まった点はその週のうちに直す
3〜4 週目担当者以外にも使ってもらい、一人に頼った道具になっていないか確かめる
30 日目利用件数・削減時間・残った不満を確認し、続ける・広げる・終えるを決める

工程 7:一件ごとに、3 つを残す

一件終わるたびに、型・事例・データの 3 つを残します。

  • 型:業種に固有の部分と、どの業種でも使える部分に分けて蓄える
  • 事例:業務がどう変わったかを、前後の時間と担当者の声で残す(匿名化し、掲載は許可を得たものだけ)
  • データ:選定の点数、工数、合格までの修正回数、30 日後の利用件数

どの業種でも使える部分(入力の受け方、不足時の質問、検証の手順)が増えるほど、 次の案件の工程 3・4 が短くなります。

情報の取り扱いは、始める前に書面で決める

業務の書類には、個人情報や取引の情報が含まれる前提で進めます。 始める前に、次の 4 点を書面で合意しています。

  1. AI に入力してよい範囲(氏名や連絡先をそのまま入れるか、記号に置き換えるか)
  2. 材料・実例・作ったものの保存場所と期間、終了時の削除方法
  3. 部品・事例・データとして残してよい範囲
  4. AI の出力は下書きであり、提出・保存する内容の最終責任は先方の担当者が持つこと

まずは、止まっている一点から

7 つの工程の全体像は進め方のページにもまとめています。 30 分の有料相談では、工程 1 の「止まっている一点を選ぶ」を一緒に行います。

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